シンドラー社の会見。~イメージだけではなく、真実を冷静に見る事。

 昨夕、シンドラー社の本部責任者らの会見がやっと行われた。
3時間を超える会見だったという。

 冒頭亡くなった方と遺族に対する弔意が示され、
会見を開くのが遅くなってしまった事を謝罪した。
又、事件後の対応の不備に対しても謝罪した。
 しかし事故の責任はシンドラー社には無いという事を、
改めて数字も示して説明し続けた。

 正直なところ、
ワールドカップの日本初戦直前のタイミングを狙っての会見日時の設定に対し、
又、終始冷静で合理的な態度に対し、
今までの一連の報道から受けるイメージとも相まって、
“冷たい”と印象を受けてしまった。

 よく、
西欧人は謝ると罪を認めた事になるから謝らない。
裁判や司法判断で有利になるように、すでに対応している。
などと言われた。

 けれど、
言われてみればごもっともな事ばかり。



 冷静に考えれば、
新規設置直後の事故なら製品の欠陥である可能性が高いけれど、
10年以上経っているのだったら、メンテナンスの不備をまず疑うべきだ。

 鉄道事故も航空事故も自動車の事故も、
最初から車体の製造メーカーに疑いがかかる事はないでしょ。
同じ“乗り物”だよ。

 メンテナンスして、製品上の問題が見つかれば、
その時点で製造元に対してアクションを起こす。
そして製造元が満足いく対応を取らなければ、
次の手段を取る、という流れになるべきだ。

 今回は、
管理者もメンテナンス者も殆どアクションを起こしていない。
物は物である以上、完璧に同じ状態で完璧に安全だなんて有り得なくて、
ひとつひとつ使われ方や保守管理のされ方が違うのは当然だ。
 悪い状況に進んでいるという危機意識が誰にもなかったし、
だから対応が取られていなかった。


 日本では、
働いているすべての人々が、
使命を持って責任感を持って、仕事をまっとうしている、という妄想をまだ捨てていない。

 けれど、現実は違うよね。
受けた仕事の範囲、得た収入の範囲でしか働かない人間の方が圧倒的に多いのだ。
それは、日本に怠け者が増えたからではない。
そういう働き方を求められているのだ。
面倒な事を言わず、言われた通り、効率良く問題を起こさず、
こなす事が使命なのだ。

 チェックリスト以外の点検までする事は、
任務逸脱行為なのだ。
“問題無し”と報告する事が、効率上最も“良い仕事をする”人間なのだろう、この場合。

 エレベータの構造に熟知した口うるさくて、高収入を求める社員ではなくて、
“初心者でも大丈夫”なんて募集して安い賃金で雇う。
そして目標となるような高い知識や経験技術を持った先輩もいない状況下で、日々効率良く仕事をこなす。

 そういう日本の“働く場”の現状の中、
いつまでも、日本は安全で信用できる国、なんて妄想を抱いている方がおかしいよなっ。


 にも関わらず、
事件以降の“情報”を元に、
私は、シンドラー社製品=危なっかしい物というイメージを
完全に持ってしまっていた。

 日々流される、
“こんなにもたくさんあるシンドラーエレベータのトラブル”のニュース。
それから、シンドラーという名前の連呼。

 自分の身の回りにも起こりうるトラブルや不安を、
“外国”のせいにしてしまった。お国柄の違いだと。
けれど事件は、
日本の社会構造の変化に伴う歪みによって起きたのだ。

 自分は、責任感の強い日本人に囲まれて暮らしているのだから、
危険に曝されるハズはないという思い込みは、そろそろ捨てないといかんね。

 多分、今の日本には、
メンテナンスをまともにやってないエレベータなんて
山ほどあるンだと思うよ。

Tb to
<エレベーター事故>シンドラー社幹部、初めて記者会見 [ 06月12日 20時56分 ] 毎日新聞
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by oooo0 | 2006-06-13 00:00 | 世事
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